第2次世界大戦後、レーダが降雨観測に用いられ始めた当初、小型でコストの低いXバンドのレーダは水文学での利用に大きな期待が寄せられました。しかし、波長が短いために降雨減衰の影響を大きく受け、定量的な測定には向かないことがわかってくるとその期待は急速に小さくなりました。マルチパラメータレーダは反射因子ではなくKDPという位相情報を利用するために、降雨減衰の影響を受けません。これにより、従来、困難とされていた定量的な降雨量推定が可能になりました。

古典的な方法(R-Z関係)

(a)台風11号に伴う降雨のレーダ反射因子。(b)レーダ反射因子から求めた降雨強度の分布。レーダ近くにある強い線状の降雨によ る減衰のために破線の円の部分の強い降雨が検出できません。

新しい方法(R-KDP関係)

(a)台風11号に伴う降雨の比偏波間位相差KDP。(b)KDPから求めた降雨強度の分布。図11では検出できなかった強い降雨域が検出できています。

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このページの情報は2004年のものです。新しい情報は「Xバンドマルチパラメータレーダ」をご覧ください。