災害災害をもたらす大気現象の多くは空間的なひろがりが数百mから数百kmで寿命が数十分から2日程度のメソスケール大気現象です。我が国で毎年のように発生し、多くの尊い人命や貴重な財産を奪っている集中豪雨、豪雪、雷や竜巻などがメソスケール大気現象の典型的な例です。メソスケールの大気現象は、多様な形態、地域特性を持ち、スケールが小さくゲリラ的に発生する場合があります。気象レーダはこのようなメソスケール大気現象を監視するのに有効な手段です。ドップラー機能を持ったレーダを用いれば、従来の反射強度の情報に加えて風の分布に関する情報が得られます。ドップラー偏波機能を持ったマルチパラメータレーダを用いればZ-R関係によらない降雨量の推定、降水粒子の種類に関する情報などが得られます。

世界的に見れば気象レーダが本格的に登場したのは今から50年余り前です。第2次世界大戦後に戦時中に使用されていた軍事レーダの民間への払い下げがきっかけとなりました。防災科学技術研究所に最初の気象レーダが導入されたのは1969年です。研究所の設立が1963年であることを考えれば早くから気象レーダを導入して研究をおこなってきたと言えます。防災科学技術研究所での気象レーダを用いた研究の歴史を見てみると、非ドップラーレーダ、ドップラーレーダ、マルチパラメータレーダという時代に大きく分けることができます。ここでは、防災科学技術研究所が行なってきた主な観測を写真で簡単に紹介します。


1989年以降におこなった主なレーダ観測の場所と内容。

1: 吹雪観測(津軽平野,1989〜1992)

2: 降雪雲観測(酒田,1989〜1992)

3: 吹雪観測(石狩平野,1994〜1996)

4: 台風観測(宮古島,1993)

5: 降雨観測/DUETTO(石狩平野,1994)

6: つくば域降雨観測(関東平野,1993〜1996)

7: 成田空港レーダ検証実験(関東平野,1995)

*JATMEX(オーストラリアダーウィン,1999〜2000)

8: 降雪観測(長岡,2000)

9: 三宅島噴煙観測(式根島,2000)

10: 降雪雲観測(新潟,2001)

11: DDX01/デュアルドップラー(関東平野,2001)

12: SZW01/人工降雪実験(新潟,2001)

13: MMX03/降雨観測(神奈川県,2003〜)

(黒字:XDOP and/or XPOL, 赤字:MPレーダ
design by graficom
Copyright 2004 - The National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention  
このページの情報は2004年のものです。新しい情報は「Xバンドマルチパラメータレーダ」をご覧ください。