GIS形式のレーダ雨量(九州)

防災科学技術研究所
水・土砂防災研究部門

本ページは、地理情報システム(GIS)で利用できる形式(kmlおよびGeoTIFF)に変換したレーダ雨量を提供しています。Google Earth等で様々な地理情報と重ね合わせてお使い下さい。この情報は防災科学技術研究所が研究目的で作成し公開するものです。利用は自由ですが生じた不利益については防災科学技術研究所は一切責任を負わないものとします。

連絡先:水・土砂防災研究部門 三隅(misumi [ at ] bosai.go.jp)

半減期72時間実効雨量半減期1.5時間実効雨量24時間積算雨量実況降雨強度
半減期72時間実効雨量 半減期1.5時間実効雨量 24時間積算雨量 実況降雨強度
半減期72時間実効雨量 凡例
(mm)
半減期1.5時間実効雨量 凡例
(mm)
24時間積算雨量 凡例
(mm)
実況降雨強度 凡例
(mm/hour)
気象庁5分毎1km メッシュ全国合成レーダエコー強度GPVと国土交通省XRAIN雨量データから算出した半減期72時間および半減期1.5時間実効雨量、24時間積算雨量、実況降雨強度(国立研究開発法人防災科学技術研究所による解析)。利用したXRAINデータは、国土交通省より提供されたものです。利用したデータセットは、国家基幹技術「海洋地球観測探査システム」:データ統合・解析システム(DIAS)の枠組みの下で収集・提供されたものです。図の作成には国土地理院の数値地図25000(行政界・海岸線)を使用しました。

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(要Javascript)
[GIS用ファイル(KML/GeoTiff)]
[九州版][四国版][近畿版]

1. 実効雨量とは

降雨は土砂災害を発生させる要因の1つであり、雨量は土砂災害の発生可能性を評価する指標として広く用いられています。これまで考案された最も簡単な雨量による土砂災害発生指標の1つは実効雨量と呼ばれるもので、雨量を以下のように重み付き積算します(矢野 1990)。

(式1)
Rw = Σi 0.5i/TRi

ここでRwが実効雨量で、地表面や土壌中に貯留されている水分量を近似的に表現しています。Rii時間前の1時間雨量を表し、時間が経つほど係数0.5i/Tが小さくなることによって、流出や蒸発散によって地表面や土壌から水が失われる影響を考慮しています。つまり、実効雨量は、過去に降った雨量の影響を時間とともに減少させて計算した雨量の目安です。

Tは半減期と呼ばれる定数で、T=1.5時間とT=72時間の実効雨量を組み合わせた危険度評価が広く用いられています(寺田・中谷 2001など)。

2. レーダによる雨量について

(1) 雨量の推定方法

リアルタイム性と正確性の観点から、広い範囲をカバーする気象庁5分毎1kmメッシュ全国合成レーダエコー強度GPV(以下、JMAレーダ雨量)と国土交通省XRAIN(XバンドMPレーダネットワーク)による雨量情報の2種類のデータから5分間隔で実効雨量を求めています。XRAINはこれまでのレーダに比べて高精度な雨量観測が可能であり、かつ、1分毎250 mメッシュの高時空間解像度で雨量を求められる利点がありますが、観測範囲が限られています。一方、JMAレーダ雨量は広い範囲をカバーしています。防災科学技術研究所では、Xバンドレーダで観測された雨量とJMAレーダ雨量を相補的に活用し、両者の利点を活かした合成雨量作成手法を2010年に開発して特許(第5557082号)を取得しました。現在はこの手法の効果を更に向上させ、5分毎のJMAレーダ雨量を降雨場の移動ベクトルに基づいて時間内挿を施した上で、1分間隔でXRAINレーダ雨量を合成しています。このように求めた1分毎1 kmメッシュの雨量から雨量データを作成しています。なお、実効雨量の算出においては、5分ごとに半減期係数を掛けています。すなわち、5×j分前の5分間雨量をR'jとすると、式(1)は以下のようになります。

(式2)
Rw = Σj 0.5(5/60)j/TR'j

(2) 観測頻度による実効雨量の違い

従来の雨量計のデータから実効雨量を算出する際は、1時間雨量を用いるのが一般的でした。同じ雨に対する実効雨量でも、半減期係数を掛ける時間間隔によって値が変わります。例えば、1日目は毎分1mmの雨が降り続け、2日目は降雨なし、3日目は毎分0.1mm、4日目は毎分0.5mm、5日目は毎分1mmの雨が降り続いている期間があるとして、この期間に対する半減期1.5時間実効雨量の値を計算した結果を図1に示しています。5分毎に半減期係数を掛けた場合は、1時間毎に半減期係数を掛けた場合に比べ約2割実効雨量の値が小さくなります。半減期72時間実効雨量の場合はその差が小さくなりますが、やはり5分毎に半減期係数を掛けた場合は値が小さくなります。つまり、5分間隔のレーダ雨量に基づく実効雨量の値は、1時間間隔の雨量計で計算された実効雨量とは値が異なることに注意が必要です。

雨量計による実効雨量との違い
図1半減期係数を掛ける時間間隔が、半減期1.5時間実効雨量の値へ及ぼす影響。棒グラフは1時間毎に積算した実効雨量、線が5分毎に積算した実効雨量、図の上方の塗りつぶしは5分間雨量を示しています。

3. 平成24年九州北部豪雨の事例

ここで、平成24年九州北部豪雨の被害事例とレーダに基づく実効雨量の関係について以下に紹介します。平成24年(2012年)7月九州北部豪雨では、7月11から14日かけて九州北部(福岡県・熊本県・大分県・佐賀県)を中心に発生した記録的な豪雨が、河川の氾濫、浸水、土砂災害を引き起こし、多大な被害が生じました。図2に、JMAレーダ雨量とXRAINの合成雨量から算出した実効雨量の分布図を示します。

平成24年九州北部豪雨の事例
図2レーダ雨量から算出した平成24年7月九州北部豪雨時の実効雨量(2012年7月12日6時の値)。左:半減期1.5時間実効雨量;右:半減期72時間実効雨量。図中の星印は同時刻頃に発生した土砂災害の場所を示します。

災害後のヒアリング調査によると、図2の★で示す熊本県阿蘇市で生じた土砂災害は、7月12日5時~6時頃に崩壊が生じたと考えられています。熊本県阿蘇市では、7月11日から12日6時の総雨量が500ミリを超える大きな雨量でした。この図より、土砂災害が発生した時間(7月12日の6時)には、熊本県阿蘇市周辺の実効雨量が大きな値を示していることがわかります。

4. GIS用データ

最新の観測に基づく実効雨量等の解析結果を地理情報システム(GIS)で利用できるよう、KML形式とGeoTiff形式の2種類のファイルを用意しました。実効雨量等は気象庁5分毎1km メッシュ全国合成レーダエコー強度GPVと国土交通省XRAIN雨量データを用いて計算されています。実効雨量の積算期間は,半減期72時間および1.5時間実効雨量でそれぞれ12日と6時間です.利用したXRAINデータは、国土交通省より提供されたものです。利用したデータセットは、国家基幹技術「海洋地球観測探査システム」:データ統合・解析システム(DIAS)の枠組みの下で収集・提供されたものです。また、図の作成には国土地理院の数値地図25000(行政界・海岸線)を使用しました。ご利用の際には以下の2点にご注意ください。

(1) KML 形式 (Google Earth 用)

九州における半減期72時間および半減期1.5時間の実効雨量、24時間積算雨量、実況降雨強度をGoogle Earth 等で表示することを目的としたKMLファイルです。初期状態では半減期72時間の実効雨量を表示しますが、フォルダをツリー表示することにより、半減期1.5時間の実効雨量や24時間積算雨量、実況降雨強度を選択することが可能です。表示される画像は5分毎に最新のものへと自動更新されます。画像やKMLファイルの形式は予告なく変更される場合があります。

(2) GeoTiff 形式

九州における半減期72時間および半減期1.5時間の実効雨量、24時間積算雨量、実況降雨強度をGeoTiff形式で作画したものです。画像は5分毎に最新の解析結果へ更新されます。画像の形式は予告なく変更される場合があります。

5. 使用上の注意

参考文献

更新履歴

2016年5月10日
公開。
2016年5月12日
実況降雨強度を追加。KMLファイルの更新(Version 160512)。
2016年5月25日
画像のカラースケールを変更しました。
2017年7月6日
実効雨量画像のカラースケールを変更しました。

国立研究開発法人防災科学技術研究所
水・土砂防災研究部門
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